職場や身内の集まりで、ちょっとしたお礼として渡す「寸志」。
その気持ちを丁寧に伝えるためには、封筒やのし袋の選び方にも心を配りたいものです。
この記事では、寸志に使う封筒の種類から、書き方、渡し方のマナーまでご紹介します。
寸志に使う封筒は、場面や相手に合わせて選ぶことが大切です。
フォーマルな場面や目上の人には、水引付きののし袋が適しています。
赤白の蝶結びが基本で、何度あってもよい喜びを表します。
一方、職場の慰労会やカジュアルな場では、白無地の封筒でも問題ありません。
大切なのは、現金を直接渡さず、きちんと包む礼儀を守ることです。
市販の「寸志」印字入りの封筒もあり、急ぎの場合に便利です。
封筒選びで誠意を伝え、相手に気持ちよく受け取ってもらいましょう。
寸志とは？意味と基本的な使い方
「寸志（すんし）」とは、「ほんの気持ちですが」といった意味合いを込めて、心ばかりの現金を包んで渡すことを指します。日常的に使うことはあまりない言葉かもしれませんが、職場の行事や親しい間柄での小さな儀礼の中で、丁寧な気持ちを表現する手段として使われています。
一般的には、目上の人に渡すのではなく、同僚や部下、あるいはお世話になった方に感謝や労いの気持ちを込めて渡すことが多いです。たとえば、退職する人に向けた歓送迎会、仕事の慰労会、ちょっとしたイベントの謝礼などで用いられます。
また、寸志は形式張ったものではないため、比較的カジュアルな場面でも使いやすく、「形式よりも心を込めて」が基本のスタンスになります。そのため、受け取る側にとっても重すぎず、気持ちよく受け取ってもらえるのが特徴です。
金額は必ずしも多くなくて構いませんが、大切なのは“気持ちを形にする”ということ。小さな金額でも、きちんと封筒に包み、丁寧な言葉を添えて渡すことで、より誠意が伝わります。
ビジネスや地域の集まりなど、幅広い場面で使える「寸志」。その背景にある意味や目的を知っておくことで、より安心して贈ることができるでしょう。
寸志に使う封筒・のし袋の種類と選び方
のし袋と白封筒、どちらを使う？
寸志に使う封筒は、主に「のし袋」か「白無地の封筒」のどちらかを選びます。
使用する場面の雰囲気や相手との関係性に合わせて、適切なものを選ぶことがポイントです。
- フォーマルな場面（たとえば結婚式、公式な式典、目上の方への謝礼など）では、水引付きののし袋が好まれます。外見としてもきちんと感が出るため、格式ある場には適しています。
- 一方で、職場の歓送迎会やちょっとした慰労の席など、日常的な場面では、白無地の封筒でも十分です。派手すぎず、気持ちが伝わればそれで良いという考え方が根底にあります。
「お金をそのまま手渡しする」というのは避けましょう。小額であっても、何かしらの封に包むことで、礼儀と誠意を示すことができます。
水引の有無や種類にも注意
封筒の中でも、のし袋には「水引（みずひき）」という飾り紐がついていることがあります。この水引にも意味があり、場面によって適切な結び方を選ぶ必要があります。
寸志の場合は、繰り返してもよい喜びごとや感謝の表現に使うことが多いため、赤白の「蝶結び」が基本です。これは「何度あっても良い」という意味を持つため、歓送迎会や慰労会などにはぴったりです。
反対に、「一度きりでよい」とされる結婚式などでは、固く結ばれてほどけない「結び切り」の水引が使われます。寸志であっても、場面に応じた水引を選ぶことで、さらに丁寧な印象を与えることができます。
コンビニや100均、文具店で買える寸志用封筒の例
「寸志」とすでに印字された封筒もあり、急な用意が必要なときにも便利です。
特に、コンビニや100円ショップ、文具店など、身近な場所で簡単に手に入る点が魅力です。
小ぶりなサイズのものから、のし袋の形式を取ったものまで種類も豊富にあります。色味も控えめで落ち着いたデザインが多く、使う場面を選ばないのもポイントです。
予備として数枚手元に置いておくと、急な場面にも慌てずに対応できて安心です。
寸志袋への正しい書き方
表書きには「寸志」と書く
寸志の封筒を準備する際、最初に意識したいのが表書きの記入方法です。封筒やのし袋の中央上部に、縦書きで「寸志」と書くのが基本とされています。文字は毛筆や筆ペンで書くのが正式な形式であり、丁寧に書かれた文字は、それだけで贈る側の誠意を伝える力を持ちます。
ただし、最近では毛筆に不慣れな方も多く、黒のサインペンや筆風のボールペンでも問題ありません。大切なのは、読みやすく丁寧に書かれていること。雑に書かれた文字は、せっかくの気持ちを損ねてしまう可能性があるため、落ち着いた気持ちで一文字ずつ丁寧に記入することを心がけましょう。
「気持ちです」「ほんの気持ちです」と書いてもいいの？
封筒やのし袋の表書きに「寸志」と書くのが一般的ですが、「気持ちです」「ほんの気持ちです」といった表現も、実はマナー違反ではありません。ただし、以下の点を意識することが大切です。
- カジュアルな場面や、形式ばらない贈り物として渡す場合
- 親しい間柄（同僚・友人・近所など）への感謝の気持ち
- 小規模な会合や集まり、慰労会など
こうした場合は、あえてやわらかい言葉である「気持ちです」などを使うことで、温かみやフランクさが伝わります。
一方で、以下のようなケースでは、やはり「寸志」と書く方が適しています。
- 会社やビジネスの関係者に渡す場合
- 目上の人や正式な場（歓送迎会・式典など）での贈答
- 礼儀やしきたりを重視する集まり
「寸志」は謙譲の気持ちが込められた言葉なので、相手に対して失礼にならず、かしこまった印象を与えることができます。
名前を書くべきか？基本のルール
「寸志」の文字の下段には、基本的に贈り主のフルネームを記入します。これにより、誰からの贈り物かが明確になり、受け取る側も安心して受け取ることができます。
ただし、贈る場面によっては少し配慮が必要です。たとえば、複数人で連名の寸志を贈る場合や、社内イベントのようにあまり堅苦しくない場面では、名前を記載せずに渡すこともあります。名前を記載するべきか迷ったときは、同席する他の人と相談して統一感を持たせるとよいでしょう。
また、表書きに記載する名前はフルネームが基本ですが、親しい間柄やカジュアルな場では名字だけでも問題ない場合があります。相手との関係性に合わせて調整しましょう。
裏書きや中袋のある場合の書き方
封筒の裏面には、金額を記載することが一般的です。これは受け取った側が内容を確認しやすくするための配慮でもあります。金額の記載には、アラビア数字ではなく、漢数字（例：金五千円）を使うのが正式とされています。
中袋がある封筒を使用する場合は、中袋の表面中央に金額を、裏面の左下に贈り主の住所と氏名を記載します。このときも、文字は縦書きで統一し、清書するようなつもりで丁寧に記入しましょう。
なお、中袋を使用することで封筒の中身が直接見えず、より丁寧で品のある印象になります。大切な場面や目上の方への寸志を贈るときには、中袋付きの封筒を選ぶとより安心です。
このように、封筒の書き方ひとつにもマナーと心遣いが表れます。些細なことのように思えるかもしれませんが、こうした丁寧さが、相手への思いやりとしてきちんと伝わるのです。
寸志の金額相場はどのくらい？
寸志の金額には明確な決まりはありません。目安としては、以下のようなケースが一般的です。
- 歓送迎会や慰労会：3,000〜5,000円
- 結婚式など：10,000円前後（ご祝儀とは別に渡す場合）
例えば、歓送迎会や慰労会といった職場や地域の集まりで渡す場合、多くは3,000円から5,000円程度が相場となっています。これはあくまでも「心ばかりの気持ち」を表す金額であり、高額すぎず負担にならない範囲として適切とされています。
一方で、結婚式のようなフォーマルな場で、もしご祝儀とは別に寸志を渡すことがある場合は、1万円前後が一般的です。ただし、結婚式ではご祝儀自体が重要なため、寸志の額はその場の慣習や相手の立場を踏まえて慎重に判断しましょう。
また、地域や業界によっては異なる慣習があるため、初めての場合や不安がある場合は、周囲の人や上司に相談して適切な金額を確認するのがおすすめです。
何より大切なのは、金額の多さではなく「感謝や敬意の気持ち」を込めて包むこと。無理のない範囲で、気持ちを丁寧に伝えることが寸志の本質です。
寸志を渡すタイミングとマナー
渡すタイミングと言葉がけのコツ
手渡しするタイミングは、一般的には、歓送迎会や慰労会の会の始まりや挨拶の後など、落ち着いた場面がよいでしょう。
慌ただしい場面や盛り上がっている最中は避け、相手が落ち着いている瞬間を見計らいましょう。
渡すときの言葉としては、 「ささやかですが、お受け取りください」 「日頃の感謝の気持ちです」 「日頃の感謝の気持ちを込めて、ほんの気持ちですが…」といった、控えめな表現が好まれます。
あまり大げさにせず、さらりと伝えることで相手も気兼ねなく受け取りやすくなります。
結婚式やお祝いの席での配慮点
新郎新婦の職場の上司が部下に寸志を渡すなど、特別な配慮が必要な場面もあります。
相手との関係性に応じた丁寧な渡し方を意識しましょう。
例えば、新郎新婦の職場の上司が部下に寸志を渡す場合、立場の違いもあり、渡し方や言葉遣いが重要になります。直接手渡すのが難しい場合は、幹事や仲介役の方を通す方法もあります。
また、渡すタイミングや封筒の種類にも注意し、失礼のないように心がけましょう。過度に目立たず、あくまで「感謝の気持ち」をさりげなく伝えることがポイントです。
寸志を贈るときに気をつけたいこと
「現金を渡す」ことへの配慮
寸志は現金を直接渡す場面が多いため、相手や場の雰囲気に配慮することがとても重要です。現金という形で贈り物をすることは、時に相手に気を使わせたり、受け取りにくさを感じさせてしまうこともあります。そのため、渡す際は「押し付けがましくならないように」「相手の立場や状況をよく考える」ことが大切です。
例えば、あまり親しくない間柄や目上の方には特に注意が必要です。相手の気持ちや状況を見ながら、タイミングを見計らったり、丁寧な言葉を添えることで、受け取る側の負担を和らげることができます。また、周囲の雰囲気を壊さないように配慮することも忘れずに。
さらに、渡し方にも工夫が求められます。封筒にきちんと包み、のし袋を使うなど形式を整えることは、現金を手渡す際の礼儀として非常に効果的です。現金をそのまま手渡すのは避け、必ず包んで渡すようにしましょう。
メッセージや手紙を添えるのはOK？
寸志を贈る際に、簡単なメッセージカードや一言添えた手紙を一緒に渡すのは、とても良いアイデアです。言葉で気持ちを補足することで、より心が伝わりやすくなります。
例えば、「いつもありがとうございます」「これからもよろしくお願いします」といった短いフレーズでも十分です。長文でなくても、手書きの一言が添えられているだけで、相手にとっては嬉しいものです。形式的な文章にこだわるよりも、相手に対する思いやりや感謝の気持ちが感じられるかどうかが大切です。
ただし、メッセージを添える場合も、状況や相手との関係性を考慮し、過度に重くならないように配慮しましょう。あくまで「気軽な感謝の気持ち」として、さりげなく伝えるのがポイントです。
まとめ
寸志に使う封筒は、のし袋か白無地の封筒が一般的です。
フォーマルな場面や目上の人には、水引付きののし袋を選びましょう。
水引は赤白の蝶結びが基本で、何度あっても良いという意味があります。
職場の歓送迎会や慰労会などカジュアルな場では、白無地の封筒でも失礼になりません。
どちらの場合も、現金を直接渡すのではなく、必ず封筒に包むことがマナーです。
また、「寸志」と印字された専用の封筒も市販されており、急ぎの際に便利です。
寸志は、「ありがとう」や「おつかれさま」の気持ちを、さりげなく伝える手段のひとつです。
封筒やのし袋の選び方・書き方を押さえておけば、失礼なく、相手にも心よく受け取ってもらえます。
大切なのは金額の多さではなく、その中に込めた気持ちです。